練風景

 鍋の国には砂地、岩場、密林など、さまざまな地形の演習場が存在する。
演習場では鍋の国軍の戦闘員が日々訓練を行っており、特に海兵隊の一団は他部隊より頭一つ抜けた訓練量を誇っている。

 海兵隊は精鋭主義であるため、人数こそは少ないが、掛け声やその姿、瞳から伝わる気迫は他に類をみない力強さがあった。
その身は日々の訓練により引き締まり、筋繊維はしなやかに力強く、耐久力を得るためのわずかながらの脂肪を蓄え彼らの輪郭を形作っていた。
まるで極限まで引き絞られた弓のごとく緊張感を携え、それでいて瞳には国を守るという誇りからかわずかに笑みを浮かべているような、そんな印象を受けるのが鍋の国の海兵隊であった。

 彼らは最前線で戦う兵士である。最前線での激しい戦闘を生き残るために、自らが身につけた技能は積極的に使用された。
ある者は追跡者部隊から、ある者は特殊部隊員から移動してきた者たちだった。彼らのバンダナベレー帽からはすでに部隊章は取り去られていたが、その技術は失われることなく彼らの中に息づいていたのである。


とよ:追跡者

 彼らの訓練内容は基礎的な体力づくりや火器の扱いをはじめ、教官に就任した石塚弘史氏による座学など多岐にわたっていたが、特に重視されたのは走ることであった。
海兵隊は船やヘリで戦場へ駆けつけたが、それらの手段が使えない場合は走るしかなかったからだ。
揚陸艦から飛び立った偵察機の情報を元に、時には自ら偵察をし情報を得、彼らは地上を駆けた。

彼らは鍋の国の守護を担うべく、今日も研鑽を続けている。